不動産とオールディーズ、海外鉄道情報局

今、もっとも関心のある、中古戸建、洋楽の懐メロ、そして海外の鉄道について書いていきます。

「ビッグ・ピンク」のような戸建てが欲しい ~MUSIC FROM BIG PINK~

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2017年から2018年にかけて家を買いました 

 

私ごとですが、このたび、中古戸建てを購入いたしました。


インターネットで物件を探し始めたのが、2017年の8月でした。

検索の結果、今振り返れば後に購入することになる、築30年オーバーの物件を見つけたのが9月のこと。計2回の内覧と指し値交渉の結果、無事に契約にこぎつけたのが11月末でした。その後、年が明けてしばらく経った1月中旬にローン契約、そして1月末に決済と鍵の引き渡し。

ここからリフォーム業者との打ち合わせがスタートです。

3月1日の段階で、2回の打ち合わせを終えたところでまだ工事未着工どころか、施工内容も未確定ですので、すでに3月中の引っ越しはあきらめていて、ゴールデンウィーク前に住み始められればいいかな、といった感じで考えています。

中古物件であっても、実際に居住を開始するには、思ったよりも時間がかかるものですね。もちろんリフォームをする必要がないという判断なら、すぐ引っ越せるわけですが。

ちょうど新聞のニュースでは折からのドライバー不足から、3月中旬から4月中旬までの引っ越しは劇混み状態なのだとか。ピークを外して引っ越せることに、結果的に、ですが、なりそうです。

常に人が集まり、何かが産み出される「家HOME」

 

タイトルの写真は、まったく本文とは関係はなく、戸建て住宅のイメージ写真ということで掲載しました。

みなさまご存じの、ザ・バンドのデビューアルバム「Music from Big Pink」(1968年)です。ざらざらした手触りの11曲が納められたアルバムの聴きどころは、A面とB面の最後を飾る「The Weight」(A-5)と、「I Shall be Released」(B-6)でしょう。

リヴォン・ヘルムとリック・ダンコが交互にリードをとり、リチャード・マニュエルのバッキングが絡むThe Weight、そしてリチャード・マニュエルのファルセットボイスで歌われるディラン作のI Shall be Released。激動の60年代末の混沌と不安、そして微かな希望とが交錯する、余韻にあふれる静謐な1枚です。

Big Pinkとはニューヨーク州ウェスト・ソーガティーズWest Saugertiesにある、ピンクに塗られた外壁の家を指しています。West Saugertiesはディランの自宅のあるウッドストックに近く、1967年に当時ディランのバックバンド(グループ名はホークス)だったバンドのメンバーが、オートバイ事故後の隠遁生活中のディランの下、この地に集まりました。

当時新築だったこの物件を見つけたのはリック・ダンコだそうで、リチャード・マニュエルとガース・ハドソンの3人で共同生活を開始したのです。その外観から近所では「Big Pink」と呼ばれ、今日も個人の住宅として現存しているようです。この家にバンドのメンバーが集まって曲作りをしたり、リハーサルが行われたことでしょう。当然、ディランも頻繁に訪れており、レコーディングも行われました。1975年にリリースされた「地下室(ザ・ベースメント・テープス)」は、このBig Pinkの地下室を指しています。

ひるがえって我が新居(築30年以上ですが)も、このBig Pinkのような、常に人が集まり、何かが産み出されるような「家HOME」になれば、こんなにうれしいことはありません。

 

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グリン・ジョンズがプロデュースした幻の「Get Back」②

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原点に戻りオーバーダビングなし

ビートルズのレコードを通常プロデュースしたのはジョージ・マーティンだったが、例外的にグリン・ジョンズが制作を担当したアルバム「Get Back」は1969年5月に完成。

ポールの当初のコンセプト通り「原点に戻ろう」という趣旨で、オーバー・ダビングは一切なしという、ロックっぽい音作りで(ただし例外は「Let It Be」で、69年1月の音源に対して4月になり、リードギターが加えられている)、「Dig It」のロングバージョンなど、生のままの4人+ビリー・プレストンの演奏が楽しめる。

しかしグループ4人のOKが得られずに、同時制作のドキュメンタリー映画の制作遅延もあってお蔵入りになってしまう。ちなみにその時点でのタイトルは「Get Back with Don't Let Me Down and 9 other songs」であった。もちろんこれはジャケットの写真同様、ファーストアルバムの際の、「Please Please Me with Love Me Do and 12 other songs」にちなんでいる。

映画「Let It Be」に合わせた改訂版

その後、映画の進捗に合わせて再度制作された改訂版が、2枚目に収録された、1970年のファイナル・ミックスだ。

収録曲は映画に未使用の「Teddy Boy」が外され、代わりにA面ラストに「Let It Be」。そしてB面ラストの「Get Back (Reprise)」の前に、「I Me Mine」と「Across The Universe」が挿入された。

このI Me Mineの収録は1970年1月3日で、グループとして最後のレコーディングとなったが、ジョンはセッションに不参加となっている。映画ではジョンとヨーコがワルツを踊るシーンで使われたが、当時は正式なレコーディングは行われておらず、このたびの追加レコーディングとなった。

それにも関わらず、再びリリースは見送られ、音源はフィル・スペクターに委ねられて1970年5月8日、グループ13枚目のオリジナル・アルバムとして発売されたのはご存じの通り。

ストリングスや女性コーラスが大々的にフィーチャーされて甘すぎるように思われる公式アルバム「Let It Be」、そして「Naked」を謳いつつテイクの切り張りなど編集作業が随所に施された「Let It Be...Naked」に比べ、もっとも「原点回帰」が鮮明な「Get Back」は、手がけたグリン・ジョンズとともに、もっともっと評価されてほしいものだ(難しいとは思うが)。

Across The Universeの聴き比べ

 

このファイナル・ミックスの音源で聴ける「Across The Universe」は、①フィル・スペクター制作の公式テイク、②ジョージ・マーティン制作の通称「バード・ヴァージョン」(「パスト・マスターズ Vol.2」に収録)、そして③「Let It Be ...Naked」収録と同じく、テイク8が使用された。

しかし①、②と異なりテープスピードはそのままなので、ピッチはオリジナルで、オーバーダビングは女性コーラスのみ。③と並んで、最も生の質感が楽しめる好テイクとなっている。上記4通りのバージョンに加え、アンソロジー収録バージョンを含めると、5通りのアレンジが楽しめるこの名曲、プロデューサーによる味付けの差異が比較できる聴き比べをぜひ楽しみたい。

 

 

グリン・ジョンズがプロデュースした幻の「Get Back」①

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西新宿BFで税込み1000円!!

ビートルズローリング・ストーンズエリック・クラプトンなどの音源が目白押しの西新宿の専門店。なかでもお気に入りなのがBF。おそらくBFのオリジナルレーベルと思われる「MOONCHILD RECORDS」のシリーズで棚に平積みされていたのが、ビートルズの幻のアルバムとして知られる「Get Back」だ。ビーチ・ボーイズの「スマイル」と並んで、ロック史上2大「幻のアルバム」として君臨しているのはみなさまご存じの通りでしょう。

発売を前提としてグリン・ジョンズがプロデュースを担当し、約1年の期間をおいて2回のミックスが制作されたこの音源、プロモーション用のアセテート盤が流出したことから、従来よりコレクターの間では有名であったが、未入手だったところ、ちょうど1000円(なんと税込み!!)で購入できるとあって、鋭意、購入。足取りも軽く帰途についたのでした。

粗削りな構成が魅力。ロックを感じる音作り

このMOONCHILD RECORDS版「Get Back」は、ジャケットはデビューアルバム「Please Please me」のパロディの、ご存じEMIビルで撮られたカットが使われているが(青盤でもおなじみ、それにしても、わずか6年後とは思えない変わりよう…)、手書きで校正文字が書き入れられた、いかにも幻のアルバム風のデザインが秀逸だ。構成は2枚組で、1枚目にはファーストミックス、2枚目にはセカンドミックスがそれぞれ納められ、容易に聴き比べが楽しめる。といっても収録曲はほとんど重なっており、ミックスも共通の楽曲がほとんではあるが。

以下、Disk1(ファーストミックス)の収録曲です。

Track1    One After 909

Track2    Rocker

Track3    Save The Last Dance For Me

Track4    Don't Let Me Down

Track5    Dig A Pony

Track6    I've Got A Feeling

Track7    Get Back

(以上、Side A)

Track8    For You Blue

Track9    Teddy Boy

Track10  Two Of Us

Track11   Maggie Mae

Track12   Dig It

Track13   Let It Be

Track14   The Long And Winding Road

Track15   Get Back (Reprise)

(以上、Side B)

 

魅力はなんといっても粗削りのゴツゴツした感じと、ロック感覚あふれる音作り。これを繰り返し聴いていると、フィル・スペクターによる公式盤は、甘すぎて聴く気になれなくなるというのが正直なところ。冒頭から強引に切り込んでくるロックンロールの「ワン・アフター 909」、わずか30秒程度のセッション風景ながらザクザックっと絶妙のタイミングのギターのカッティングに心奪われる「ロッカー」、そしてジョンとポールのぶっきらぼうなようで溶け合うようなコーラスワークが絶品で、このまま永遠に聴いていたい気持ちにさせる「ラストダンスは私に」の、冒頭3曲の流れが実に痛快だ!!

 

B面最後の「ゲット・バック(リプライズ)」もラフな演奏で、ノリのよいポールのボーカルが楽しい。しかしこの構成にするなら、A面ラストの「ゲット・バック」は、A面トップのほうがよかったのでは? またB面トップの「フォー・ユー・ブルー」で、イントロをわざわざやり直すのは、さすがにジョージに悪いのではないだろうか…。

 

また「テディ・ボーイ」はポールの初ソロ・アルバム「マッカートニー」収録のバラード。この曲のみ、セカンドミックスでカットされた。映画「レット・イット・ビー」で使われなかったからだが(サントラ盤としての発売が予定されたため)、ポールが自身のアルバム用に温存したからという説も。真相はいかに…?

丁寧な歌い方と、(リンダの?)美しいコーラスのソロ・アルバムのほうが好感が持てるが、こちらはジョンのナンセンスな掛け合いが楽しめる。「ワン・アフター909」もそうだが、このふたり、こんな険悪期でもいったん歌いだすと、このノリ、そして説得力。まさにロック界史上、最高最強のツインボーカルだ!!